沼津高専に着任し,今年で11年目を迎えます.授業や実験,研究室運営はもちろんのこと,学級担任・副担任や研究室指導教員,ロボコン部顧問,高専祭顧問等を通して,多くの学生達と関わってきました.高専には本当に様々な学生がいます.
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ものづくりがしたくて高専に入学し,思う存分高専生生活を満喫する学生
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部活動と学業の両立を目指してどちらも挫折することなくやり遂げる学生
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学生会活動や寮生会活動に重きを置き,人とのつながりを大切にする学生
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将来の夢に向かって研究活動に邁進し,対外発表を積極的に行う学生
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無事に進級できたことを喜び,来年はこうはならないぞと勉強する決意をする学生
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長期休み期間にしか挑戦できないこと(留学,アルバイト,課外活動)を頑張る学生
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自分探しの旅を経て本当にやりたいことを見つけて巣立つ学生
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仲の良い友達がいるから,あいつらがいるから頑張る,と言える学生
正解なんてない.本当にそう思います.でも1つだけ,解があるとするならば,それは「自分で決めた」ということです.進むのも,止まるのも,戦うのも,逃げるのも,挑戦するのも,自分で決める.このことだけは大切にしたい,そう思いながら日々指導しています.自分で決めて,周りに伝える.そして,「学生が自分で決める」その過程で,傍にいることが教員としての一番大切なところであり,そこに立ち会えることこそがこの仕事の良いところだと思っています.進路についても同様です.高専卒業後の進路は就職,大学編入,専攻科進学のどの進路が正解ということはありません.いつか,社会に出て,社会人として活躍するその日までにどのような進路をたどるか,それを考える5年間が「高専生」生活だと考えています.
憧れをきっかけに.きっかけを行動に.行動を決意に.
沼津高専青木研究室では医療・看護ロボティクス,社会インフラ用ロボティクス,社会実装ロボティクスに関する研究を行っています.創発コミュニケーションによって生まれるアイディアを重視し,ロボットを通じた共育工学を実践しています.研究室には,クレド(Credo)があります.クレドとは「信条」「志」「約束」を意味するラテン語です.企業活動の拠り所となる価値観や行動規範を表現した文言であり,従業員が心がけるべき企業の信条のこととして使われています.研究室においてクレドは教員が所属の学生に対して「こうあってほしい」「こうなってほしい」という思いであり,青木研究室で研究生活を過ごす中で自然に身に着けてほしい能力です.
- 共に育つ
- 共に教えあい,学びあう
- 一緒に,創る
- 自立した個であろう.だからこそ,仲間を信頼しよう
- 創発を生む
- 自律・分散・協調・イノベーション
- 自分の言葉に追いつこう
- 相手の可能性を信じよう
- 走りながら考える
- 日常が変わるスピードに振り回されず,変化を楽しもう
- きっかけを大切に.考えるより行動で
章題は高専教員生活を通じて学生に伝えたいメッセージです.何事にも「きっかけ」が大切であるということを思い続けています.3月のライオンという漫画にて「信じて努力を続ければ夢は叶う」という言葉があります.ただひたすら信じること,出来ると信じること,その信じる気持ちに偽りはないと自分自身を奮い立たせるために努力すること,どの程度努力するのか,最後に決めるのは自分です.何か活動するには,必ずスタートするきっかけがあります.きっかけの見つけ方は人それぞれです.でも,その1つの答えに「憧れ」があると思っています.身近な憧れをきっかけにして具体的な第1歩を踏み出し,自身のこれからを決意する.「憧れをきっかけに.きっかけを行動に.行動を決意に.」みなさんのきっかけはなんですか?